抗菌とは製品の表面上における細菌の増殖を抑制し、長期にわたって菌を増やさないようにすることです。
細菌を一時的に死滅・除去する殺菌・抗菌とは区別されます。
細菌の人間への悪影響は一定量を超えて増殖した場合に起きることがほとんどです。抗菌加工された製品は細菌の増殖を抑えることができるので、人体への影響を小さくすることができます。
抗菌印刷とは、印刷物の表面に銀イオン(Ag+)等を中心的成分に持つ銀系抗菌剤を含んだインキを塗布し、細菌が印刷物に付着しても銀イオンが移行することで増殖(細胞分裂)をできなくすることです。印刷インキはSIAA(抗菌製品技術協議会)登録の抗菌インキを使用。表面に塗布することで抗菌層が形成され、抗菌効果の高い衛生的な印刷物が生まれます。
抗菌加工した印刷物は表面の細菌の増殖を抑制するだけで、それ以外の細菌を死滅させたりするものではありません。したがって手が触れても、皮膚などの常在菌に対する作用はほとんどありませんし、また自然界の微生物に影響を及ぼすこともありません。
銀系抗菌剤の特徴 ──
銀イオンの除菌・抗菌効果が確認されている細菌類
銀系抗菌剤の一番の長所は抗菌効果が強いことです。抗菌成分である銀はイオン状態のとき、例えば大腸菌・黄色ブドウ球菌・O-157(腸管出血性大腸菌)・サルモネラ菌などに対してであれば5~10ppbという極微量濃度で死滅させる効果があります。
※ppbとは濃度に対して使用される単位の1つで、10億分の1という意味です(Parts Par Billionの頭文字)。銀の1ppb溶液とは、銀1グラムが一辺10メートルの立方体水槽一杯分の水に溶けた溶液、という意味になります。いかに微量で効果があるかがお判りいただけると思います。
また広範囲の種類の細菌に対して抗菌効果を発揮することも銀系抗菌剤の大きな特長です。地球上に存在するすべての細菌を用いて試験することは不可能ですが、少なくとも生活環境で普通に存在している細菌について、銀系抗菌剤は確実に効果を持っています。
二番目の長所は極めて安全性が高いことです。有史以来、銀は食器や装飾品に多用されてきた金属ですがいまだ問題らしい問題は見つかっていません。微量な濃度でも抗菌効果があるにもかかわらず、人間などの大動物にとっては非常に毒性の低い金属です。
さらには実使用環境においても効果の持続性に富み、半永久的に抗菌効果が継続します。
参考図書:抗菌剤の科学(工業調査会)